日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
45.岡山田町(岡山県)
ナ、ナント岡山のソープランドでは本番がないという。これって、かなり古いCMにあった「クリープの入っていないコーヒーみたい」なものだ。こんなのってアリかよう!と困惑してみてもはじまらない。
こちらの県の若者たちは、どうやってナニの処理をしているのだろうか老婆心(蛇足ながら記者は男だから老爺心かもしれない)ながら気にかかる。 頭に血が上りっぱなしのセイ少年ばかりかと思ったら、かなり涙ぐましい努力をしてイロイロと凌いでいるようではある。しっかり切符を握りしめて隣の県の福山に行くやら広島に出掛けるやら。はたまた逆方向の姫路に歩を向けるやら、神戸の福原まで足を伸ばすやら。さもなくば瀬戸大橋を渡って高松の城東町のソープ街に出向く青年もいるだろう。
ともかく岡山はフーゾク無毛、いや間違えた不毛の地だという印象を全国の多くのフーゾク・ファンの間で長いこと思われてきたのは事実だ。でも、そんなことってあるのだろうか。いくらなんでも岡山県が教育県であっても、岡山市が文化都市であっても、エッチの楽しめる本番フーゾクが街のなかに無いなんてことが。これではまるで「コーヒーの入ってないコーヒー・カップ」のようなもの。あまりにも間が抜けすぎているし、非道過ぎる!
と考えている皆様へ。そんなことはありましぇ〜ん。嘘だと思ったら、夜も更けてから市内の繁華街である中央町とか、お隣の田町に行って御覧なさい。闇に蠢(うごめ)く黒い影という感じの秘密めかしたものでは決してなく、ケッコー街の明かりに照らされた角々に、一見してそれと分かる人影がチラリホラリしているのだ。
ウ〜ンこれぞまさに御当地の夜の桃源郷(というほど大袈裟なものではないが)それなりに楽しい遊びの一端を紹介してくれる案内人。いわゆるポン引きのオニイさんやオジさんたちの人影である。
いずれにしても本番のないソープの街のことなのだから、他の都市のようなシステムとは、遊び方もちょいと趣向が違ってはいる。言ってみればイッパツ屋と直引き(ジカビキと読んで、サセてくれる女性が直接相手となる客を誘う方法)との折衷型(せっちゅうがた)なのだ。
こちらでは当事者の女性が出てきてダイレクトに客と交渉するのではなく、代わりにポンちゃんたちが、しかるべき場所への案内をしてくれたり、料金の説明から何からの全ての仕切りを担当してくれる。だから、彼との交渉の時に、女の子のタイプや年恰好などのリクエストや料金に関する話などは付けておくのが賢明である。
そして衆議一決すれば、彼らが連れて行ってくれる先は、付近にあるラブホテルであったり、なかには、わざわざ乗用車を使って、少し離れた建物へ運ばれることもある。案内された個室で待っていると、間もなくお姫様がやって来る。しかしリクエストはしていても、何処の裏フーゾクでも同様だが、ギャルが来るまではどんな子なのかは分からない。これが顔見世なしのフーゾクの面白さ。
余談だが触れておくと、あらかじめ部屋でお姫様が待っていたら、それはイッパツ屋さんになる。もし、女の子が直接こちらを誘ってホテルに咥え込んだら直引き営業である。ではなくて、ポンちゃんがしかるべき所へと連れて行ってくれたら、これはポン引きフーゾクとなるのだ。念のため。 ま、そんなことはどうでも良いけれど、岡山ではこのようにポン引きと女の子とラブホの連合軍によって、可能な限り密やかに裏のフーゾクが執り行われているのである。
こちら十年以上にわたって殆んど変化がない。
ポンちゃんたちが言うには、おおよそ60分間のお仕事で2万円というのが相場のようである。それにプラスするところのホテル代が3000円ほど。すべて足して大二枚半でお釣りがくるのである。
面白いことに、初めからポンちゃんにイッパツ屋さんをリクエストしちゃうと、これが多くの場合、総額2万7000円以上の料金を請求されたりして、大三枚近くになってしまうこともある。遊びにも、交渉ごとにも順番があるってわけだ。
ここで挙げておくと、裏フーゾクの常として多くの女性は熟女や熟々女であることに違いはないが、岡山ではお小遣い欲しさの若い子がアルバイトでその中に混じっているケースが目につく。特に駅前はさて置いて、中央街や田町の繁華街にはアルバイシュンに精をだすギャルが時としているのだ。
さて最後に付け加えておこう。御当地は瀬戸内海に面した都市である。それ故に、当然のこととして魚が美味い。ついでに「極聖」(キワミヒジリと読みませう)という地酒の銘酒もあって、毎度のこと記者は飲んでからヤルか、ヤッテから飲むかでいつも考え込んでしまう。
でも、こういう悩ましさなら楽しいよネ。