日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
39.菊池温泉(熊本県)
熊本へ行ってきた。というと話の分かるやつは、それだけで羨ましそうな顔をしてニタニタする。
もちろん市内にある、おそらくニッポンで一番の、ということは世界でも一番のソープランド「BS」へ遊びに行ったことに間違いはない。だがそれだけではなく記者の大好きな馬刺し、それも特にレバ刺しを食いにも行ったし。さらに天草灘で獲れた真鯛の刺身も突っついたし、ご当地ならではの名物辛子レンコンなどの美味いものを、いつものようにひと渡りやっつけてきたのである。
そしてもちろん、これだけの美味かもん≠食うにあたっては左手に盃を持って、そのなかに「香露」という酒が注がれているのが熊本での記者の常である。地酒の中でも記者が最も好む熊本酵母で造られた馥郁(ふくいく)とした味わいのする「香露」。阿蘇の伏流水を使って、菊池あたりで収穫される醸造米で醸される稀代の銘酒なのだ。
ということで記者が、こっそりと熊本に行ったなどと口走ろうものなら、やたら羨ましがる人間は多い。その上に今回は、さらに足を伸ばしてというか鼻の下を伸ばして菊池温泉にまで出かけてしまった。いやそれだけではなく、さらにその先にある黒川温泉にまで行ったのだ。
で、今回の記事は菊池温泉について書くことにしているけれど「黒川も良かったよ」と一言付け加えておこう。こちらは地味な自然の中の温泉といった意味で、スケベのない清遊(決して性遊ではない)を楽しんでしまったのである。これもまたEではないか。 話は菊池温泉である。ソープ「BS」のある熊本市から特急バスで68分。アルカリ性単純泉のお湯は「乙女の肌」と言われるくらいに柔らかくてヌルヌルすべすべしていて美肌効果満点なのである。
そんな素敵なお湯に浸かってから、することは一つ。日頃の浮世の垢を綺麗に流して、ついでに旅の疲れも一緒に流し去ってから。宿の部屋に可愛いお姐さんを呼んだ。
九州の温泉地には、時々他所にはないようなサービスを用意しているところが幾つかある。鹿児島の市比野(いちひの)温泉のメイドさん遊びとか、別府大分の出張ソープとか、どういうものかを説明する前に自分で遊びたくなってしまうような凄い遊びが人知れずあるのだ。
参考までに簡単に触れておくと、メイドさんとは各地から特に選んで集めたとてもスケベな仲居さんたちである。出張ソープ嬢は、いつもスケベ椅子やらローションやらを大きな袋に詰め込んで部屋にまで来てくれる親切な出張さんである。ただしデリのお姐さんではない。それよりもズーっと以前から存在するプロの女性たちだ。
それはそれとして、こちら菊池では何が面白いって、宿の人に酒の相手をしてくれる女性を頼むと。「はいっ それではコンパニオンにしますか。それともホステスに?」と聞いてくる。
そう、こちらでは他所と違ってお酒の相手をしてくれるのはコンパニ姐さんだけではなくて、街中の飲み屋やスナックのホステス嬢もいるのである。このシステムは実に合理的といえる。
何故ならコンパニ姐さんだとお座敷に呼んで相手をしてもらう。そして、その後のことを進めるにはさらに花代がかかる。これがどうもウザったい。それに引き換えホステス嬢だと、一応お座敷が終わればそこで一段落。引き続いての時間帯を、大抵は自分のお店に連れて行ってくれる。これだと花代の追加も必要ないし、そこでのんびり飲みなおしてから次の一戦に向かえばよろしい。実に経済的である。
それに、どういう訳か、ご当地のホステス嬢は若くて話のわかるコが多いのだ。とても軽いノリでアフター・アワーズを引き受けてくれる。さすが九州でもベスト5に入ると記者が勝手に思っている歓楽温泉のお姫様たちと言えるだろう。
ところで気になる費用のほうだが、彼女たちを御座敷に呼ぶ花代が一座敷90分で1万円ほど。それと店での飲み代とラブホ代が1万円。で彼女へのお礼が3万円、〆て5万円と言いたいところだが。
今回は彼女との事前の交渉が上手くセイコーしてしまい、何とお礼のほうが2万円で済んでしまったのだ。「こいつぁ春から縁起がEわい」ということになった次第である。
最近の菊池温泉は、以前のように男性ばかりの団体による宴会型から家族や女の子同士の保養型の客が増えているようで。集団としてのスケベ遊びの需要が減少しているようなのだ。このことが逆に一人スケベを求める記者のような客には、思わぬディスカウントに会うようなメリットを施してくれたのかもしれない。
まったくウッシッシなのである。ここしばらくは熊本行き、というか菊池行きが続くかもしれない。