日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
西高東低なのです。いえ、なにも冬の気圧配置ではなく、全国のチョンの間の配置図です。
確かにどういうわけか全国の名のあるチョンの間ゾーンにしても、チョンの間のクオリティーの高い店にしても、皆さん関西から西に偏っているというか、多くあるのです。
そのなかでもピカ一のチョンの間ゾーンといえば、間違いなく大阪西成区にある飛田新地でしょう。なんたって二百軒に上るチョンの間屋さんが、限られたさほど広くない一画で元気にひしめいているのですから。
規模といい、ギャルの質といい、他を断然引きはなしていることは、一度でもこの街の中を歩いてみたことのある人なら誰でも理解できるはず。
“ウ〜ン これは”と唸りたくなるような若くて可愛いコもかなり目につくのだ。そして、どの店でも女の子は入口にある暖簾の向こうの真っ赤な緋毛氈を敷いた上がり框のところに行儀よく座っている。その隣には飛田で定番のエプロンをつけたオバちゃんも一緒に座っているのだ。
彼女たちは店先を行き交うスケベそうに鼻の下を伸ばしきった男の通行客に声をかけている。でも本当は声を掛けるのは、ほとんどがオバちゃんで女の子たちは、ただニッコリ笑いかけているだけの場合が多いようでもある。
「なぁ ニイちゃん寄って行きぃな!エエコがおるでぇ」なんて具合に声かけをしている。あたりは、夜だというのに店内の明かりが煌々と照らし、さらに店先に掲げられた店の名前入りの行燈看板にも明かりが灯って色街の雰囲気を華やかにかもしだしている。
今でもそれなりに残っているようだが、かつては遊郭らしく街をグルリと高さ5〜6メートルの塀が取り囲んでいた。なかに入るには四ヶ所しかない門を通って入るようになっていた。まったくの遊廓街の造りである。それでも、今から四〜五十年ほど以前には売防法のあおりを食らってすっかり寂れていた時代もあった。それが二十年ぐらい前から大阪のソープが全滅したのと入れ替わるようにして御当地のチョンの間が脚光を浴びるようになってきたのである。なんて能書きはアッチへ置いといて・・・。
このレトロな街で遊ぶ前に“食い倒れの町・大阪”に来たのだから何か美味いものでも喰ってせいぜい精をつけましょう。これからの季節、フグの刺身であるテッサもあれば、鶴橋付近の焼き肉もいい。いやそこまで行くまでもなく地元の新世界やらミナミの繁華街にはいくらでも美味いものが転がっている。
ということで食い倒れて飲み倒れて、それから飛田の街へ。その前に御当地へのアクセスはどうするの?と聞きたいご仁もいるだろうが、こちらはニッポンでもピカ一の遊び場なのだから幾通りものアプローチ法がある。
電車だけでも地下鉄の動物園前、南海本線の萩ノ茶屋、JRの新今宮、近鉄の阿倍野橋、どこからでも十数分も歩けば着いてしまう便のよさ。さらにタクシーに乗れば、余程のもぐりのドライバー氏でもない限り誰でもが知っていて説明するまでもなく現場に連れて行ってくれる。それが飛田なのだ。
でもって、遊ぶにはどうしたらいいかって?まずは自らの判断で店を決めたら、上がってみる。もちろんそこにいる女の子が気にいってのことだが。すると、お二階へと案内されて四畳半ほどの個室に。
入って女の子と小さな卓袱台を挟んで座っていると、例のオバちゃんが丸いお盆にビールの小瓶と乾き物を載せて顔を出す。ここで値段交渉だ。いま二十代前半の可愛い子が揃っていて人気のあるのが“青春通り”と呼ばれる正門から入ってすぐのあたり。ここいらの相場は一発が一万六千円ほどで、そこからちょいと外れたところだと一発が一万一千円ぐらい。十年前に比べてそれぞれ千円づつ料金が上がっている。芸が細かいねぇ!
ところで蛇足までに付け加えておくと、料金は書いたけどプレイ時間を書かなかったのは、チョンの間の場合、大抵が一発ドピュッと発射してしまえば、それでジ・エンド。十五分も三十分も関係ない、というわけだ。
にしても美味いものワンサカの大阪の町と飛田のレトロな色街の雰囲気を楽しんでみるのに丁度いい季節になったようである。