日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
50.草津温泉(群馬県)
草津良いとこ一度はぁ お出でぇ ドッコイショ〜 お湯のなかにも こりゃぁ花が咲くよ チョイナチョイナ〜
てな訳で、なんともノンビリと、ご機嫌に2014年の正月も明けてしまったと思っていたら、早一ヶ月近くになりにけり。
もう本当に、時の経つのは早いんだからぁ〜。アッチのほうの立つのは、もどかしいほどに遅いくせにぃ〜。御免なさ〜い!
ということで正月気分は何処へやら。いつものように忙しくも慌ただしい毎日の生活に逆戻りの今日この頃。それにしても、草津の湯は久しぶりに良かったなぁ。マジお湯の中にも花が咲く感じでした。
もちろん記者のバヤイは、ただ温泉に浸かって何処かの動物園のカピバラのようにボーッとして過ごしはしない。草津といえば名にし負う歓楽温泉である。普通のお湯もEけれど、ねっとりとしたバルトリン氏腺液系のエッチな秘湯のお湯も御当地にはあるはずだと街のなかへ。この探究心というか好奇心の旺盛さは我ながら見上げたものである。
歓楽温泉・草津で遊ぶとなれば、その昔はやはり芸者のお姐さんたちとだったが、最近の本線は何と言っても連れ出しスナックが一番。今ではごく一般的な温泉フーゾクになっている。
そこで遊ぶには、地元のタクシードライバー氏に聞くか、宿泊先の部屋の担当の仲居さんに聞くかすれば事は簡単。だがもう少し歓楽温泉街の雰囲気を楽しんでから、というムキには、街の中心ともいえる、あのモウモウたる湯煙りと、鼻を突く刺激臭で知られる湯の花で有名な湯畑の付近を歩いてみればポン引きの連中が小当たりに誘ってくる。
このポン引き経由のほうは、ちょいとヤバそうだけど実は面白かったりする。料金が他経由より若干安かったり、こちらのリクエスト好みのタイプや年齢などに合わせてくれたり便宜を図ってくれることもある。
さて料金はというと、とりあえずは大三〜四枚は覚悟しておこう。まず紹介されたスナックで飲み代が必要かどうか。なかには良心的な店では、交渉成立となれば飲み代はヤリ代のなかに含んでくれるところもある。
また、ホテル代を料金に入れてくれる店もあったりして。どこからどこまでが、遊びのお金なのか店によってイロイロである。それで大(つまり一万円札のこと)三枚から四枚と、どうしてもあやふやな表現をせざるを得ないのである。
ま、草津でのお遊びは想定内のこと。たまの歓楽温泉でのプレイということで、それなり楽しく味わいましょう。さて、話はこれからであって、記者は草津に行くとなると、その行きか帰りに必ず立ち寄る秘密のスポットがある。
草津温泉と同じ群馬県の六合村(これでクニムラと読みませう)にある尻焼温泉こと花敷温泉という一風変わった温泉が記者のオキニなのだ。時は冬。月は満月。よく晴れた夜中が、こちらのベスト・シーズン。
温泉が湧いているのは渓流のなかなのだ。それが真冬の満月の夜中ともなると、真ん中を流れる川が両側のポッコリとした山を二分して黒いシルエットを浮かび立たせている。その丁度、ド真ん中にお月様が昇って来ると銀色をした月明かりが二つの山に生えている葉の落ちた枯れ木のオブジェのような姿を描き出すのだ。
天然自然の川幅が十〜五十メーターほどの渓流を大きな樹を倒して堰(せき)にしている。その川底からは、名前の通りに直に触れたらお尻が火傷するほどの高温の温泉が湧き出している。その湧出口を足で弄(マサグ)っては避けるようにして浸かる。
付近に宿は数軒あるけれど、夜の夜中なら別に関係ない!料金無料。さあ川岸でスッポンポンになって湯に飛び込んでみよう。ただし気を付けるべきは髪の毛だ。これ不用心に濡らしてしまうと、数分もしないうちに凍りだしてしまう。となると風邪は覚悟のこととなる。
尻焼温泉に入るには、発泡スチロールの蓋つきの箱を用意しよう。なかにはビールとウイスキーとグラスと氷それに若干のおつまみを入れておく。中天の満月と黒い二つの山影を眺めながらの一杯は、何とも言えない素晴らしさ。
ところで、こちらの人気は数十年ほど前から一部の人たちには熱烈に支持されてきた。
よく夜中に湯に浸かっていると「ア〜ラ ダァレも居ないわぁ」とか「アラッ向うに男の人が居るみたい」などと妖しげな声のする時がある。
これ、夜のお仕事を終えて東京は新宿の二丁目から車を飛ばしてやって来たお姐さんたちなのだ。別に彼女たち(?)お尻を焼きに来るのではないのだろうが。この素敵な自然に惹かれてやって来るようだ。
彼女らが思わず知らずにこちらに近づいてきて、マンマお友達になってしまうこともあって。フーゾクではない温泉なのに、何故か気持ちのE体験がイロイロと出来たりする。
二丁目の、それなりのお姐さんで尻焼温泉を知らないコがいたら「そいつはモグリじゃあねえの」と言い放つ記者の友人もいるくらいである。