日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
49.別府温泉(大分県)
全国の風俗街には、それぞれその土地ならではのユニークな遊びがあったりする。だが、その多くはプレイの面白さや楽しさから、いつの間にか全国区の人気を獲得するようになって、ごく当たり前のフーゾク・メニューになってしまう。
たとえば、30年以上も前から加賀温泉郷の片山津温泉や山中温泉には、この地ならではの一発屋があった。四国は高知市内の堺町というか堀詰(ほりづめ)には一種独特なパンパン屋が在って地元のサラリーマンたちがよく使っていた。こちらも歴史は古い!
さらに古いのは、全島挙げてのチョンの間が江戸時代から存在していた三重県の渡鹿野(わたかの)温泉のある渡鹿野島。それと、何となくモヤモヤと40年ぐらいにわたって道後の温泉町に在り続けているのが連れ出しスナックだ。
これらは、時が経つにつれて全国区の風俗へと広がっていった。その理由は手軽だし安いし楽しいからである。ところで、このような全国的な広がりを見せない風俗なのに手軽で、安くて、楽しい、その土地ならではのB級風俗が、各地に今でもある。
そこで今回は、そんな風俗御当地B級グルメのなかでも記者にとってはベストスリーに入る逸品を紹介しよう。
場所はフーゾク世界の中でもアナ場と目される大分県の別府温泉である。目指すB級フーゾクを紹介する前に上質な歓楽温泉街の別府について少々。別府での遊びの中心はトルコ風呂(歴史的言辞として使わせて頂く。悪しからず)と言われた時代からのソープランドだった。そして、ここから御当地のフーゾクの料金が引き出されている。
その前に、こちら町中に十七軒あるソープで使う湯は、すべて天然に湧き出すお湯である。そう掛流しの湯なのだ。だから他所の土地のソープのように湯を使うために重油代だとか水道代が必要ない。重油だとか水道だとか、大したことないでしょう、と思う人もいるだろうが、これを商売で使うとなると月額なんと軽く百万円以上にはなってしまう。
これがタダとなれば、料金が安くなるのも当然のこと。だから御当地のソープ代はどちらも総額1〜2万円台で事足りる。そんなこんなで、確か2000年頃には11軒しかなかったはずの店が現在17軒に増えている。全国の風呂屋街でこんなところは他にありません!さて気になるB級フーゾクの話である。御当地には知る人ぞ知る出張トルコと呼ばれる地味な商売が以前から在る。これが面白いのだ。出張とあるから最近人気のデリ系かというと然に非ず(サニアラズと読みませう)そんなものが登場する30年も前から、しっかりと営業を続けている。
女の子が当時のトルコで使う一切合財を袋に詰めて客の待つホテルにやって来るのだ。それもホテルなら一流の観光ホテルでも、Bクラスのビジネスホテルでも、どこでもOKだ。大きな袋の中には簡易マットから風呂桶からイソジンからコンドーさんまで。それらをシングルルームの浴室に並べてお仕事をしてくれる。
別府の夜は、このチマチマとした、それでいてハート・ウォームフルな何とも言えない雰囲気の中で過ごすのが最高なのだ。泡姫は地元の子が多いように思う。それも妙にスレッからしてもいず、かといってバイトずれもしていない。大抵の子は記者のチン●ンをいとおしむようにして可愛がってくれて、舐めてくれる。まるで素人の女のコとのお遊びのようである。
ところが、このB級グルメいざ探そうとなると実に大変なのだ。というのも現在でも存在しているけれど、なかなかその実体にたどりつけない。まさに幻≠フB級フーゾクである。記者ですら、これまでに何度も事務所を変えられてしまい、その都度大いに悩まされたもの。それでも別府の街の中の暗闇をさ迷っていると何らかの手がかりを得ることができる。それに必要なのは独特の嗅覚、耳聡い聴覚、それと旺盛なフーゾクに対する好奇心が大切だ。
別府で遊ぶならソープが一番のお勧め品目である。こちらは前述したように安いうえに今でも若い泡姫が多い点で出色なのだ。それ以外でもこと遊びのメニューに関しては他所の歓楽温泉に比して遜色はないのである。言ってみれば公然たるアナ場なのだ!
それに目の前に広がる別府湾には、近くは城下カレイがいるし、沖には関サバ、関アジが群れなして泳いでいる。これらの魚を刺身でもいいし、焼くのもまた結構。
でもって一緒に呷(あお)る地酒は、国東の「西の関」がもってこいの酒である。国東半島の伏流水で造られる味は馥郁(ふくいく)として、そして芳醇な香りのする銘酒だ。幻のB級フーゾクグルメを探しつつ別府の夜をさ迷う。こんな贅沢な遊びは、そうそうないだろう。