日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
ようやく青森の街にも暖かくて気持ちの良い春がやってきた。こうなると街の周辺の津軽の野にも白くて綺麗な林檎の花が咲きそろう。この時期の御当地はとても素敵である。そんな季節感に誘われて青森の街に出掛けてみよう。
ちょうど新幹線も市内にまで届くようになったようだし、これからは足の便もさらに良くなるのだろう。それはさておき、JR青森駅のすぐ近く駅を背にして右手の一画は、この頃の都市の再整備とかで没個性的にすっかり片付いてしまったのだが。それでも潰れてしまったストリップ劇場のあたりから奥は、昔ながらの粗末な家並みがゴチャゴチャと集中している。ここが面白い。
というのも、この一画を地元では「第三新興街」。通称ダイサン≠ニ呼んでいるやたらディープなフーゾクゾーンなのである。青森駅から歩いたってものの五分もするかしないで着いてしまう至便さなのだ。なのに街のなかの雰囲気はちょいと暗くてレトロな感じで、湿っぽいフーゾク街ならではの空気が漂っている。ムフフ、これがまた、たまらなく男の遊び心をかき立ててくれるのだ。
その昔、まだ本州と北海道の間を青函連絡船が結んでいた頃には、このダイサンのあたりも流行っていた。さらにそれに代わる青函トンネルの工事中も工事関係者で賑わっていた。当時それも冬のやたら寒い時期、海峡を渡って吹きつける吹雪のような強烈な雪の舞う中、駅前からダイサンに向けての道には木製のリンゴ箱に戸板を置いた台の上に何がしかのものを載せて小商いをしているオバアちゃんたち。その間をすり抜けるようにして背中を丸めてダイサンに向かう遊客。何とも言えない風情があったものだ。
それはそれとして、この季節に青森に来たのだから、イカの刺身をはじめ地元・陸奥湾の新鮮魚やら、北海道産に三陸産の魚介類など、涎が垂れて止まらないほどの美味珍味が御当地には揃っている。それにもうすこしたったら付近の山々で山菜も採れるという時期だ。海山の肴を前にして傾けるは、やはり地酒である。津軽杜氏と土地の蔵人が造る黒石の「初駒」という地酒。これはタマりません。
さて腹ごしらえも済んで、ほどよくアルコールも回って、とくれば行きましょう。目差すダイサンへと。
こちらのお遊びは云ってみれば本サロである。ただし、ちょいと青森流≠フところがあって、それは連れ出しOKという点だ。オキニのコを選んで店のなかでスルことも出来るのだが、もうすこし周囲に気を使わずにイタしたければ近くのラブホに彼女を連れて行ってスルこともOKなのである。で、こちらの本サロはダイサンの街のなかの適当なところにあるから、探すことに関してはたいして苦労しないで済む。果たしてどちらの店が本番OKのサロンなのか?
「そんなの簡単に分かるよ。店の看板の周りにピカピカ光る豆電球が付いている店は大抵それだね」とは地元の事情通氏だ。
そこで、まったくの御当地事情を知らない旅人として遊びに入ったら一体幾らくらいだろうか。そう、向こうの言い値に従ったらどのくらいだろう。で、再び事情通氏に聞くと、「入場料が3000円。これにはウーロン茶など飲み物が一品つく。そしてヤリ代が30分で2万1000円とか2万円とかだね。ホテルだと1時間で3万1000円とか3万円とかそれにホテル代が3000円」というのが言い値である。もちろんそんな値段で遊ぶのはもったいない。これを交渉して幾らくらいにディスカウントできるかが、これまたフーゾク遊びの楽しさでもあるのだ。
案の定、街のなかを歩いていたら色々な関係者の皆さんが声を掛けてくる。そして言うには「入場料が3000円でヤリ代が1万5000円。でも入場料はマケておきます」とか「もう1万円ポッキリでどうですか?それで飲み代もヤリ代もOKということで」などと言ってくる。だから焦らずにじっくり話を聞いてから行く先は決めればE。
というわけで今回の旅は食べて良し、飲んで良し、ムフフして良しの青森へアプローチしてみました。