かつて風俗を開業する人といえば、長年風俗業界で働き、風俗の売買などにも関与し、強固なコネクションを持った一部の人たちがメインでした。しかし最近では、M&Aと呼ばれる風俗の売買も一般化し、脱サラ組などの一般人も参入。いわゆる“普通の人”でも、風俗売買や新規開業によって風俗開業できるようになりました。ここではM&Aなどで一般人の風俗開業が当たり前となった、その背景を解説します。
一般人の風俗開業は「店舗型風俗から派遣型風俗の時代」に突入したことがきっかけ
店舗型風俗の代表格である店舗型ヘルスは、1970年初頭に生まれた業種。当時、店舗型ヘルスは「ファッションヘルス」と呼ばれ、手軽に利用できる風俗として急増。その後は風俗の代名詞として知られるようになりました。
1985年に風営法が改正され、ファッションヘルスもソープランドのように届出を義務化。それに伴い、風俗全体の規制もどんどん厳しくなり、ファッションヘルスの店舗数は徐々に減少していきました。
それとは対照的に勢いを増したのが、当時「出張ヘルス」と呼ばれたデリヘル。その頃より店舗を構えたファッションヘルスは店舗型ヘルス、ホテルや自宅に出向く出張ヘルスはデリバリーヘルス(デリヘル)と区別されるようになったのです。
デリヘルは反社会的勢力が近付きにくい?
店舗を構えた店舗型ヘルスなどには、営業時間中に直接お店に行けば必ずスタッフがいます。そのため、水商売や店舗型風俗には、その地域を縄張りにする反社会的勢力が「みかじめ料」を要求しにやって来ることがあります。
みかじめ料とは「厄介な客が店に来たら追っ払う」ことを条件に、反社会的勢力がお店から徴収する上納金のこと。店の規模や売り上げにもよりますが、小さい店なら月々数万円の上納金を支払うのがお約束です。
平成4年(1992年)、反社会的勢力による不当な行為の防止を掲げた「暴力団対策法」が施行。規制が厳しくなって以来、「みかじめ料」を徴収しにくくなった反社会的勢力は、店頭に並べる観葉植物を、相場以上の高額な金額でレンタルさせるなど、手を変え品を変えてみかじめ料を徴収するようになりました。
店舗を構える店舗型風俗とは異なり、デリヘルは店舗を持たない風俗。そのため、反社会的勢力はデリヘル経営者に接近しにくく、基本的に「みかじめ料」は徴収できません。
反社会的勢力と関わりのない派遣型風俗のデリヘルは、既存の風俗にあった「怖い人たちと付き合わなければならない」という概念を払拭。おまけに店舗型風俗に比べ、派遣型風俗のデリヘルは営業許可を取りやすい。これをきっかけに、一般人もデリヘルなどの風俗開業に参入するようになったのです。
インターネットの普及で一般人の風俗開業がさらに加速化
かつてデリヘルの集客といえば、電話ボックスへの違法な張り紙(名刺サイズ程度の紙に、コンパニオンのイメージ写真と電話番号が明記)が定番でした。デリヘルの張り紙だらけで外がまったく見えなくなった電話ボックスを覚えている40代以上の方も多いと思います。
透明のガラス一面覆われた、おびただしい数の違法なデリヘルの張り紙…。この頃のデリヘルは、まだ「ダーティー」なイメージがありました。それを一掃したのは、携帯電話、パソコン、インターネットの普及です。
携帯電話が加速的に普及したのは1999年。家庭でも楽しめるリーズナブルな「i Mac」や「i Book」が爆発的ヒットとなったのが2001年。インターネットが一気に普及したのは、ADSL回線が普及した2002年です。特に常時接続の高速ADSL回線の普及により、「デリヘル選びはパソコンから」が当たり前となりました。
M&Aによる風俗売買により風俗開業のしやすさも向上
超高速な光回線の普及、各店ホームページや風俗ポータルサイトの充実化、スマートフォンの普及などにより、デリヘル経営はダーティーな職業から、「インターネットを駆使すれば稼げる1つのビジネス」に変身。M&Aによる風俗売買も一般化されるなど、一般人でも参入しやすい土壌が見事に構築されたというわけです。
働く男性のほとんどがスマートフォンを持つ現在。デリヘルで稼ぐチャンスは、万人に与えられているといっても過言ではありません。M&Aによる風俗売買も当たり前となった今、アイデアと工夫次第では、元金500万円で年商数億円が稼げる。そんなジャパニーズドリームを目指し、今日も新たな風俗開業者が日々誕生しているのです。